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Macと一緒に極楽生活:史上最強のPowerBookの噂が……

【日本】 1月9日――

 西暦2000年を迎えたころ,とある情報筋から,新しいPowerBookの噂が舞い込んできた。PowerBook史上で最強のマシンを開発中だという。信憑性は,イマイチどころか相当に低いが,すごい内容なので紹介しておこう。

 米国防省の酷使にも耐えられる点を訴える目的で,最終的な製品名は,何と「PowerBook Pentagon (ペンタゴン) 」を予定しているという。過酷な環境での使用を重視し,軽くすることを完全にあきらめた。iBookの成功で,「ノートは重くても売れるじゃん」と気づいたことも背景にある。

 気になる筐体デザインは,Pentagonの名前を重視して,五角形を採用するようだ。多くのノート型が四角形を基本としている現状では,iBook以上のインパクトがあると予想する。軽量化を捨てたから可能になったデザインでもある。

 軽量化しない代わりに,考えられるすべての機能を装備して,増設をほとんど不要にした。こちらの背景には,ユーザーサポート担当の悲痛な叫びがある。DVD-ROMドライブを搭載したマシンの購入者からは,「CD-ROMが読めるのか」という質問が多数あった。サポート担当者は,「CD-ROMも読めますから」と何万人にも回答し,ノイローゼ気味になったようだ。

 同様に,DVD-RAMドライブを搭載したマシンの顧客からは,「CD-ROMが読めるのか」という質問だけでなく,「DVD-ROMが読めるのか」という質問も数多く寄せられた。それとは別に,「CD-Rドライブを使うにはどうしたらよいか」といった,増設に関する質問も数多い。

 以上のサポート問題を一気に解決しようと,すべてのドライブを搭載することにした。CD-ROM,オーディオCD,CD-R,CD-RW,DVD-ROM,DVD-RAMの6つのドライブを標準で搭載した。ほかに,MDデータ,Zip,各サイズのMO,Jazzのドライブも搭載する。さらに,ほかの新しいドライブを入れられる拡張スペースも8つ用意して,どんなドライブが登場しても大丈夫な体制を整えた。

 iMacから削ったフロッピードライブだが,それでは米国防省には受け入れてもらえない。過去の資産を大切にする意味で,3.5,5,8インチの3種類のフロッピードライブを搭載した。8インチまでついているので,世の中のほとんどのフロッピーが読み書きできる。あまり普及しなかった3.5インチ未満フロッピーのドライブは,採用が見送られたようだ。

 ノート型マシンなら,PCカードスロットが一般的だ。しかし最近では,スマートメディアやメモリースティックなどの新しい媒体が登場し,ユーザー側に混乱が生じている。PCカードスロット用のアダプタを利用すればよいだけだが,「どうすれば読めるか」という質問がサポート担当に数多く寄せられる。

 こうした状況を打開する意味から,世の中のほとんどの媒体を標準でサポートすることに決めた。PCカード以外に用意したスロットは,コンパクトフラッシュ,マイクロドライブ,スマートメディア,メモリースティック,マルチメディアカードの5種類。マイクロドライブを別に分けたのは,「マイクロドライブが使えるか」という質問を減らすためだ。

 なお,スマートメディアだけは,媒体容量が違うと互換性がないという過去の情けない失敗があるため,容量別にスロットを用意した。とりあえず,4,8,16,32,64,128Mバイトの6スロットがつくという。かなりの親切ぶりだ。これもユーザーからの質問を減らす効果がある。このクラスの媒体は今後も数多く登場すると予想するので,空きのスロットが32個も確保してある。これだけあれば,多くの新しい媒体が出てきても安心だ。

 Ethernetも,既存機種では10Mbpsと100Mbpsの共用だが,これも同様の質問が寄せられている。10Mbpsと100Mbpsを別々に付けるとともに,1Gbpsを加えて,合計3つのポートをつけた。

 これだけ多くのドライブやポートを用意すると,まちがったドライブへ媒体を挿入するトラブルも起こる。それでは,またサポート担当から文句を言われるので,できるだけ上位のドライブを搭載したという。CD-ROM関連では,DVD-ROM/CD-RW兼用ドライブを用い,多くの媒体を読めるように配慮している。スマートメディアのスロットも,全部が128Mバイト媒体まで読める。表示してあるタイプや容量の違いは,あくまでユーザーからの質問を減らすのが目的だ。

 キーボード関連では,日本のユーザーの声を大きく反映した。英語のキーボードがほしいとか,親指シフトのキーボードがほしいと言った意見だ。キーボードを取り替えるのは面倒なので,最大で5個までつけられるようにした。五角形の各辺に1つずつつけられるから,最大で5個なのだという。日本語版の標準仕様では,英語,JIS,親指シフトの3つのキーボードがつくという。好きなキーボードを選んで使えばよい。ヨーロッパ仕様や韓国語仕様など,あと2個まではつけられる。これでキーボードの種類に関する苦情もなくなるはずだ。

 液晶モニタ関係では,モノクロ液晶を使いたいというユーザーにも配慮し,カラーとモノクロの2つの液晶モニタを搭載することにした。片方だけでなく,両方同時にも使えるため,使い勝手はかなりよい。モニタの解像度に関しては,開発時点で最大の製品を採用するという。

 ノート型の場合,ハードディスクの容量不足も深刻だ。新しいドライブが出たとき,今まで使っていたドライブが無駄にならないようにと,最大16個のハードディスクを内蔵できるようにした。どこかで余ったドライブをもらってつければ,どんどんと容量が増やせる。

 これだけ装置を増やすと,コンピュータに直接関係ない装置までつけたくなる。候補としてはオーディオ関連が挙がっており,通常のカセット,マイクロカセット,10号リール対応のオープンリールなどが検討されている。この中でも特に重視しているのがオープンリールで,記憶媒体にオープンリールを採用したデジタルカメラの人気を,相当に気にしているようだ。このまま進むと,採用される可能性は高い。オープンリールのファンは,大喜びするだろう。

 多くの装置を搭載したため,CPUの処理能力も見合ったものでないと満足できない。最高クロック周波数のG4チップを,標準で4個,最大で16個まで搭載できるという。Mac OS Xの登場によって,そのパワーを発揮できるとか。

 これだけ贅沢な仕様だが,まだ完璧ではない。フロッピーにしても「DOS用やWindows用が読めるか」といった質問が必ず出る。これらも別々に分けて搭載しようかと検討されている。そこまでやれば「コンピュータが超苦手なユーザーにも優しい仕様」になると考えているようだ。

 以上が,史上最強PowerBookの噂の中身である。あまりにも強力な仕様に,腰が抜けてしまった。もし本当に登場したら,どうしよう……。

川村渇真ホームページ

http://www.st.rim.or.jp/~k-kazuma/

[川村渇真,MacWIRE Online]

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